「えびす様の総本宮って、出雲大社とどう関係しているの?」
「美保関って、出雲大社からどうやって行くんだろう?」
島根半島の東の先端に、美保関(みほのせき)という港町があります。
北前船の寄港地として栄えた面影を残すこの町に鎮座するのが、全国に3385社あるえびす社の総本宮として知られる、美保神社(みほじんじゃ)です。

出雲大社が「縁結び」で知られるのに対し、美保神社は「商売繁盛」「海上安全」のえびす様。そして、この二社を合わせてお参りする「えびすだいこく両参り」という巡り方があります。出雲を訪れたなら、ぜひセットで足を運びたいエリアです。
この記事では、出雲在住の筆者が、美保神社と美保関のまわり方をまるごとご案内します。
アクセス・参拝・見どころ・グルメ・宿・お祭りまで、訪れる前に知っておきたいことをこの一記事にまとめました。気になるところから読み進めてください。
なお、松江・米子・出雲大社方面それぞれからの詳しい行き方は、別記事にまとめています。
まず行き方を知りたい方はこちらをご覧ください。

美保関とは|えびす様の総本宮と港町の魅力

美保関は、島根県松江市の北東、島根半島の東端に位置する港町。
古くは北前船の寄港地としてにぎわい、今も廻船問屋の面影を残す町並みが続いています。海の香りがただよう静かな漁港の風情は、出雲大社周辺とはまた違った魅力にあふれています。
このエリアの中心となるのが、えびす様の総本宮・美保神社。
御祭神は、大国主神(おおくにぬしのかみ)の后神(きさきがみ)である三穂津姫命である三穂津姫命(みほつひめのみこと)と、大国主神の御子神として伝わる事代主神(ことしろぬしのかみ)です。出雲大社の大国主神=大黒様と、美保神社のえびす様を合わせてお参りする「えびすだいこく両参り」は、よりよいご縁に恵まれるといわれています。
美保神社を中心に、雨に濡れると青く色づく石畳の「青石畳通り」、山陰最古の「美保関灯台」、そして港町ならではの海の幸——半日から一日かけてゆっくり巡れる見どころが揃っています。
まずは半日で巡るモデルコースをご案内します。
美保関観光モデルコース|半日で巡る王道ルート

美保関の見どころは、港町のエリアと美保関灯台のある地蔵崎エリアに分かれています。車があれば半日でぐるりと巡れます。まずは王道の回り方をご紹介します。
- 美保神社(参拝・30〜40分)
- ↓ 徒歩すぐ
- 青石畳通り(散策・30分)
- ↓ 徒歩すぐ
- カフェでHasikkoでランチ(60分)
- ↓ 車で約10分
- 美保関灯台・地蔵崎(絶景・ビュッフェで休憩・45分)

港町エリア(美保神社・青石畳通り)は徒歩でまとめて巡れるので、まずは港のそばに車を停めて、ゆっくり歩いて回るのがおすすめです。そのあと車で美保関灯台へ移動すると、無駄なく回れます。
美保神社から灯台までは徒歩だと距離がありますが、美保関観光協会で電動アシスト自転車をレンタルすれば、約10分で灯台まで向かえます。車がない方や、海沿いの景色を楽しみながら移動したい方にもおすすめです。
出雲大社とあわせてお参りすることを「えびすだいこく両参り」といいます。
1日で訪れる場合は、出雲大社を午前中に参拝し、午後に美保関へ向かう旅程が現実的です。

美保神社へのアクセス|松江・米子からの行き方
美保関は島根半島の先端にあるため、公共交通機関だけで向かう場合は乗り継ぎが必要です。車でのアクセスが便利なエリアですが、バスでも到着できます。
それぞれの行き方を簡単にご紹介します。
車でのアクセス
松江市街地から美保神社までは車でおよそ45分〜1時間。出雲大社方面からは、約75km・1時間30分ほどが目安です(時間帯や混雑状況により変動します)。
美保神社の近くには駐車場があり、港のすぐそばに停めて、町並みを歩きながら参拝に向かう流れになります。
バスでのアクセス

JR松江駅からは、一畑バス(万原線)で「美保関ターミナル」まで向かい、そこから美保関コミュニティバス(美保関線)に乗り継いで「美保神社入口」または「美保関」で下車します。美保関ターミナルは屋内でお手洗いもあるため、乗り継ぎの待ち時間も安心です。
また、米子方面からはJR境線で境港駅まで行き、バスで美保神社入口へ向かうルートもあります。バスは本数が限られるため、出発前に最新の時刻表を確認しておくことをおすすめします。なお一畑バス万原線は2026年4月1日にダイヤ改正が行われているため、お出かけの際は公式サイトでご確認ください。
美保神社|参拝作法と見どころ

美保神社は、奈良時代に編纂された『出雲国風土記』にも社名が記されている古社。
境内からは4世紀頃の勾玉の破片なども出土しており、古墳時代以前から何らかの祭祀がこの地で営まれていたと考えられています。長い歴史を持つ、出雲を代表する神社のひとつです。
御祭神とご利益
御祭神は、三穂津姫命と事代主神(えびす様)の二柱。
事代主神は「海上安全・大漁満足・商売繁盛」の神様として信仰され、三穂津姫命は五穀豊穣・夫婦円満・安産などにご利益があるとされています。
えびす様の総本宮らしく、釣り竿にぶらさがった珍しい鯛の絵馬があるのも見どころのひとつです。
参拝作法
出雲大社の参拝は「二拝四拍手一拝」とよく知られていますが、美保神社の参拝作法は一般的な「二拝二拍手一拝」です。
両参りで訪れる方は、神社によって作法が異なる点を覚えておくとよいでしょう。鳥居の前で一礼し、手水舎で手と口を清めてから拝礼します。
珍しい本殿「美保造」

美保神社の本殿は、大社造の社殿を2棟並べた「美保造(比翼大社造)」と呼ばれる、全国的にも珍しい構造。
左殿に三穂津姫命、右殿に事代主神が祀られています。二柱の神様をそれぞれの社殿でお祀りする、美保神社ならではの姿をぜひ間近で感じてみてください。
お守り・御朱印|鯛守と7日限定の授与品
授与所は拝殿に向かって左側にあります。
えびす様の総本宮らしく、鯛をかたどったお守りが並んでいるのが美保神社らしいところです。
私が参拝したのは日中でした。贈り物にするお守りを選びきれず、授与所で神職の方に相談したところ、渡したい相手の話を聞いたうえで勧めていただいたのが鯛守。
通常のお守りと同じくらいのサイズで、見た目がとにかく可愛らしい。実際に渡すと、とても喜んでもらえました。
どれを選べばいいか迷ったら、遠慮せずに相談してみることをおすすめします。

金色の鯛守は7日限定・50体のみ
毎月7日にだけ授与されるのが「金色の鯛守」です。月次祭が終わったあと、11時と13時の2回に分けて授与され、体数は11時の回が30体、13時の回が20体、合計50体。1人1体までと決まっています。
気をつけたいのが、先着順ではないという点。
希望者が体数を超えた場合は「みくじ」で授与者が決まり、結果は各回の30分後(11時30分・13時30分)に境内へ掲示されます。早く並べば受けられるというものではないので、各時間に間に合うように参拝してください。予約と郵送は受け付けていません。
切絵朱印は月替わりの六色
同じく7日限定で授与されるのが「切絵朱印」。
「薄青」「薄桃」「山吹」「萌黄」「二藍」「朱」の全六色があり、月によって色が替わります。特定の色を狙って参拝したい場合は、その月の色を事前に確認しておくとよいでしょう。
月次御幣【棟】は7日から翌月6日まで
美保神社独特の御幣で、月次祭当日の7日に色目を新たにする決まりになっています。襲(かさね)の色目は四季の移ろいをその月の草木になぞらえたもので、「みくじ」によって決まるため毎年毎月異なります。7日から翌月6日まで授与されます。

毎月7日の「七日えびす」

美保神社では、毎月7日に月次祭(つきなみさい)が行われ、「七日えびす」として親しまれています。月次祭は9時から始まり、拝殿の外から自由に拝観できます。
あわせて祈願を希望する場合は、8時40分までに受付を済ませてください(1月と4月は時間が変わります)。
そして7日は、授与品が普段と大きく変わる日でもあります。金色の鯛守・切絵朱印・月次御幣【棟】の3つは、この日にしか受けられません。
タイミングが合えば、ぜひ7日の参拝も検討してみてください。
青石畳通り|江戸時代の風情が残る石畳の道

美保神社の鳥居のすぐそばから続くのが、「青石畳通り」と呼ばれる石畳の道です。雨に濡れると石が淡い青色に色づくことから、その名がつきました。江戸時代に整備された参拝道で、かつては旅館やお土産屋でにぎわっていました。
今も歴史ある町並みが残り、通りを歩くとまるで時代をさかのぼったかのような光景が広がります。石畳の隙間から見える海と、その奥にそびえる大山(だいせん)の眺めも、この通りならではの風景。
美保神社を参拝したあとに、ゆっくり散策するのにぴったりの場所です。
美保関灯台|山陰最古の灯台と絶景ビュッフェ

美保関の先端、地蔵崎に立つのが「美保関灯台」。
明治31年(1898年)に建てられた山陰最古の石造灯台で、世界の歴史的に重要な灯台を選ぶ「世界灯台100選」にも選ばれています。白亜の灯台と日本海の青のコントラストは、訪れる人を惹きつけてやみません。
灯台のそばには喫茶スペース(灯台ビュッフェ)が併設されており、海を一望しながら過ごせる絶景スポットになっています。天気のよい日には、隠岐の島々まで見渡せることも。美保神社の参拝とあわせて、午後に立ち寄る目的地としておすすめです。

美保関のグルメ|港町で味わう海の幸
美保関は古くからの漁港。新鮮な海の幸を味わえるのも、このエリアの大きな楽しみのひとつです。山陰で「白いか」と呼ばれるケンサキイカやのどぐろをはじめ、地元で水揚げされた魚介を使った料理を、港町ならではの雰囲気のなかで堪能できます。
青石畳通りのお店は時間帯によって閉まっていることもあるため、海産物を購入したい方やランチを楽しみたい方は、早めの時間に訪れるのがおすすめです。

美保関の宿・ホテル|港町に泊まる
美保関には、海を望む老舗の温泉旅館や、港町の風情を感じられる宿があります。美保湾の眺望を楽しみながら過ごす一泊は、日帰りでは味わえないこのエリアの魅力を存分に感じさせてくれます。神在月など出雲エリアが混み合う時期は早めの予約がおすすめです。
美保関の宿選びのポイントや、海の幸を堪能できるおすすめの宿は、別記事で詳しくまとめています。

青柴垣神事|国譲り神話にちなむ春の特殊神事

美保神社では、一年を通してさまざまな神事が執り行われますが、なかでも有名なのが毎年4月7日の「青柴垣神事(あおふしがきしんじ)」です。
これは『古事記』が記す国譲り神話に由来する神事で、事代主神が大国主神から国譲りの相談を受け、それを承諾したのちに海中へ青い柴垣を作って身を隠した——という故事を儀礼化したものです。
その年の祭礼役を担う「頭屋(とうや)」を、青柴垣で飾った2隻の御船に乗せ、笛や太鼓を奏でながら港内を巡ります。
神霊を新たに迎える意味を持つともいわれる神事で、美保神社の例大祭と同じ日に行われます。
また、12月3日には、同じく国譲り神話にちなむ「諸手船神事(もろたぶねしんじ)」が行われます。
9人ずつ二手に分かれた氏子が古代舟に乗り込み、港内を勇壮に漕ぎ競う神事で、こちらも見ごたえがあります。これらの神事は時期が決まっているため、ぜひ日程を合わせて訪れてみてください。
美保神社・美保関を訪れる前に|基本情報
| 名称 | 美保神社(みほじんじゃ) |
| 授与所受付時間 | 8:30〜17:00 |
| 定休日 | なし |
| 住所 | 〒690-1501 島根県松江市美保関町美保関608(Google map) |
| 電話番号 | 0852-73-0506 |
| 駐車場 | あり |
| 公式サイト | http://mihojinja.or.jp/ |
よくある質問
- 美保神社の参拝作法は出雲大社と同じですか?
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いいえ、異なります。出雲大社は「二拝四拍手一拝」ですが、美保神社は一般的な「二拝二拍手一拝」です。両参りで訪れる際は、作法の違いにご注意ください。
- 出雲大社と美保神社はどちらを先に参拝すればよいですか?
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一般的には出雲大社を先に参拝し、その後に美保神社を訪れるとよいとされています。詳しい両参りの順番やルートは、別記事でご紹介しています。
- 出雲大社から美保神社までどのくらいかかりますか?
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車で約75km・1時間30分ほどが目安です。時間帯や混雑状況、神在月などの時期によって所要時間は変動します。
- 青柴垣神事はいつ行われますか?
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毎年4月7日に行われます。国譲り神話にちなむ美保神社の特殊神事で、同じく神話に由来する諸手船神事は毎年12月3日に行われます。
- 美保神社の金色の鯛守は毎日いただけますか?
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いいえ、毎月7日の「七日えびす」の日のみです。月次祭が終わったあと、11時と13時の2回に分けて授与され、体数は11時の回が30体、13時の回が20体の合計50体。1人1体までで、予約や郵送は受け付けていません。先着順ではなく、希望者が体数を超えた場合は「みくじ」で授与者が決まり、各回の30分後に境内へ掲示されます。
- 美保神社の切絵朱印にはどんな色がありますか?
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「薄青」「薄桃」「山吹」「萌黄」「二藍」「朱」の全六色があり、月によって授与される色が替わります。切絵朱印を受けられるのは毎月7日のみです。その月の色は公式サイトで告知されるため、色を選んで参拝したい場合は事前に確認しておくとよいでしょう。
まとめ|出雲大社とあわせて訪れたい美保関
えびす様の総本宮・美保神社と、北前船の面影を残す港町・美保関。出雲大社の「縁結び」とはまた違った、「商売繁盛」「海上安全」のご利益、そして海辺の町ならではの風情が魅力のエリアです。
美保神社の参拝に、青石畳通りの散策、美保関灯台の絶景、港町の海の幸——半日から一日かけて、ゆったりと巡ってみることをお勧めします。出雲大社との両参りで、よりよいご縁を結びに出かけましょう。
