「加賀の潜戸(かかのくけど)」
という名前を初めて聞いた方は、「何て読むの?」「どんな場所?」と思うかもしれません。
加賀の潜戸は、松江市島根町にある海食洞窟で、遊覧船で洞窟の中まで入れる島根県でも珍しい観光スポットです。
出雲在住の筆者が実際に遊覧船へ乗船してきたので、料金・所要時間・船の揺れ・洞内の様子など、写真では分かりにくいリアルな感想も交えて紹介します。
加賀の潜戸とは|新潜戸・旧潜戸の違いと神話の由来
加賀の潜戸は、日本海に突き出た潜戸鼻にある海食洞門で、1927年(昭和2年)に国の名勝および天然記念物に指定されています。
また、この地域一体が島根半島・宍道湖中海ジオパークとして、日本ジオパークに認定されています。
なお、「潜戸(くけど)」とは、波の浸食によって岩盤が貫通してできた洞窟を指す言葉で、ここには性格の異なる2つの潜戸が存在します。
新潜戸|遊覧船で内部を巡れる海上の洞窟

潜戸鼻の先端にある洞窟で、長さは約200mとされています。波が穏やかな日には船で内部に入ることができ、観光遊覧船のメインルートになっています。
『出雲国風土記』では佐太大神(さだのおおかみ)が誕生した場所とされ、洞窟が開いた由来も神話として伝えられています。
旧潜戸(賽の河原)|陸側から歩いて入れる洞窟

陸寄りの断崖にある洞窟で、入口の幅は約5.5m、内部は奥行き約20m・高さ10m以上とされています。遊覧船では上陸して内部を歩いて見学する時間が設けられており、ここは「賽の河原」とも呼ばれています。
奥は行き止まりになっており、無数の積み石とお地蔵様が並ぶ独特の空間が広がっています。
加賀の潜戸観光遊覧船の基本情報

最新情報は公式サイトでご確認ください。料金・運航時間は変更される場合があります。
| 運航場所 | マリンプラザしまね(島根県松江市島根町加賀6120-14) |
| 料金 | 大人(中学生以上)2,000円/子供(小学生)1,000円/6歳未満は大人1名につき2名まで無料 |
| 所要時間 | 約40〜50分(賽の河原での上陸時間を含む。乗船人数により変動あり) |
| 運航期間 | 3月〜11月(12月〜2月は運休) |
| 運航時間 | 10:20/11:20/12:20/13:20/14:20/15:20の1日6便 |
| 電話番号 | 0852-85-9111 |
| 欠航について | 西風が強い日や波が高い日は欠航となる場合があります。事前に電話での確認をおすすめします |
【体験レポート】加賀の潜戸観光遊覧船に乗ってきました
受付〜出航まで

マリンプラザしまねに到着すると、建物に入ってすぐ右手に受付窓口があります。
乗船者氏名・住所・年齢・性別・連絡先を記入し、その場で現金にて料金を支払いました(取材時は大人2,000円)。

待合スペースには椅子と自動販売機が並び、トイレも完備されています。船内にはトイレがないため、乗船前に済ませておく必要があります。
出航前にはライフジャケットを着用します。
いざ出航、船は思ったより揺れない

船は2人掛けの座席が10列ほど並ぶ、定員20名ほどの大きさでした。乗船日は平日昼間で、年配の方や一人旅の女性、若いカップルなど客層は幅広く、空いていて快適に過ごせました。

当日は天候・波ともに穏やかで、食事の直後でしたが気持ち悪くなるような揺れは感じませんでした。
船長がガイドを兼ねており、出航から帰港まで潜戸にまつわる神話や賽の河原の伝承を語ってくれるため、事前に予備知識がなくてもクルーズ自体を楽しめる内容になっていました。
洞内で見つけた見どころ

特別なにおいを感じることはなかったのですが、洞窟に入った瞬間に予想を裏切られました。神話のイメージから何となく仄暗い雰囲気を想像していたところ、燕の鳴き声が洞内に響き渡っていて、生き物の息吹を感じることができたのです。
洞窟の穴は数箇所あるため光がほどよく入り、思っていたほど暗くありません。海の透明度も高く、怖さよりもむしろ神秘さを感じる空間でした。

洞窟の壁面には縦に色が変わった筋が見られ、船長によるとこれは太古のマグマが貫入した跡とのことで、実際に見るとその様子がありありと伝わってきます。
また、洞窟の出口付近では天井から水滴が垂れてくる場所があり、手を伸ばして触れてみるよう案内してもらえました。

新潜戸では、洞窟の奥に見える的島まで一直線に光が抜けるポイントがあります。
景色が見られるポイントで船をゆっくり停めてくれ、写真を撮る時間も確保されていました。船の速度は終始穏やかで逆光も気にならず、撮影はしやすいと感じましたが、スマートフォンを海に落とさないよう注意は必要です。

新潜戸の上方には「高天原(たかまがはら)」と呼ばれる場所があり、天照大神ゆかりの地名がこの一帯に残っていることも今回初めて知りました。


また新潜戸の先には、烏帽子のように突き出た島や、象の形に似た島があり、ジオパークとして指定されたこのエリアの活発な断層活動がうかがえます。
賽の河原で感じたこと

旧潜戸(賽の河原)では約10分ほど上陸する時間があります。トンネル状の通路を抜けた先に、奥が塞がった行き止まりの洞窟が広がり、無数の積み石とお地蔵様が並んでいました。子供の供養のために石を積むという話を聞きながらその様子を眺めていると、以前私が訪れた東北の恐山に近い、静かで温かい祈りの場のような印象を受けました。
諸説ありますが、賽の河原は親より先に亡くなった子供が三途の川のほとりに集まる場所とされ、子供たちは親への供養と親不孝の報いのために「一重組んでは父のため、二重組んでは母のため」と唱えながら石を積むと伝えられています。完成間近になると獄卒(鬼)が現れて塔を崩してしまいますが、最後は地蔵菩薩が現れ、子供たちを衣の袖に隠して救うという結末になっています。
石を積み重ねる行為はこうした仏教の説話と結びついていると言われています。しかし、石に霊が宿るとする信仰自体は仏教伝来以前から存在していたとも考えられており、土地に伝わる信仰と仏教の死生観が重なり合って、この場所が形作られてきたのではないか、と感じました。
子連れ・高齢者の方へ|訪れる前に知っておきたいこと
- 乗下船時には船と桟橋の間に段差があるため、足元に注意が必要です
- 賽の河原ではいったん上陸して階段を上り下りする場面があります
- 賽の河原のトンネルを抜けた先は通路が狭く、足場がやや悪くなる箇所があります(暗くて見えないということはありません)
- 所要時間は待ち時間を含めて50分〜1時間程度のため、小さなお子様連れでも無理なく楽しめる長さです
- 洞内の薄暗さや独特の雰囲気を、神秘的に感じるか不気味に感じるかはお子様によって差があるかもしれません
加賀の潜戸へのアクセス・駐車場情報
公共交通機関の場合、JR松江駅からバスで川津方面へ向かい、マリンプラザしまね行きのバスに乗り換える必要があり、本数も多くありません。松江駅や松江市内からは車での移動が現実的です。
- 松江駅から:車で約35分
- 出雲大社から:車で約1時間20分
- 美保神社から:車で約25分
マリンプラザしまねの目の前には無料駐車場があり、台数は30台程度です。週末や行楽シーズンなど混雑する時間帯を除けば、駐車できないということはあまりないと感じました。
加賀の潜戸 周辺のおすすめスポット・ランチ
マリンプラザしまね周辺は景色がよく、徒歩で渡れる桂島(キャンプ場あり)や、支佐加比売命を祀る加賀神社が近くにあります。同じ建物の2階にはジオパークを紹介する展示施設もありますが、火曜日は定休日となっているため訪れる際はご注意ください。
道中には移転オープンしたラーメン店「恵比須屋」などのランチスポットもあります。少し足を延ばせば、メテオプラザや美保神社方面まで周遊することも可能です。
加賀の潜戸→恵比須屋でランチ→桂島や加賀神社を散策→メテオプラザ・美保神社方面へ、というように、近隣のスポットをもう1〜2ヶ所組み合わせるくらいの、ゆったりとしたスケジュールがおすすめです。
島根半島東部の神話スポットを巡るなら、美保神社もあわせて訪れてみてはいかがでしょうか。

よくある質問
- 加賀の潜戸の読み方は?
-
「かかのくけど」と読みます。「潜戸(くけど)」は波の浸食でできた洞窟を意味する言葉です。
- 新潜戸と旧潜戸(賽の河原)の違いは何ですか?
-
新潜戸は潜戸鼻の先端にあり、遊覧船で内部を巡れる海上の洞窟です。旧潜戸(賽の河原)は陸寄りにあり、上陸して歩いて見学する洞窟で、積み石とお地蔵様が並んでいます。
- 船は揺れますか?
-
波が穏やかな日は大きな揺れは感じませんでした。ただし日本海のため天候によって揺れ方は変わります。船酔いしやすい方は酔い止めを持参すると安心です。
- 雨の日でも遊覧船は運航しますか?
-
運航の可否は天候や波の状況によって判断されます。西風が強い日や波が高い日は欠航となる場合があるため、事前に電話(0852-85-9111)で確認することをおすすめします。
- 小さな子供や年配の方でも乗船できますか?
-
乗下船時の段差や、賽の河原見学時の足場には注意が必要ですが、所要時間は1時間程度と無理のない長さです。心配な場合は事前に公式サイトまたは電話でご確認ください。
加賀の潜戸の観光遊覧をして、神話の世界に足を踏み入れてみよう
実際に訪れてみると、海からしか見られない景色や洞窟の静けさは写真では伝わらない魅力でした。
松江市街から車で約40分とアクセスもしやすいため、美保神社や島根半島東部の観光とあわせて訪れてみてはいかがでしょうか。
