冬の玉造温泉に宿泊するにあたり、雪の心配はないでしょうか?
島根県で観光業界に10年以上従事してきましたが、毎年冬が近づいてくると、雪に関する問い合わせが増えてきます。
そして、みなさん一様に、雪道の運転が怖いとおっしゃいます。
土地勘のないエリアでの運転、かつ慣れない雪道での運転には不安がつきものですよね。
本記事では冬の玉造温泉へ車で向かう方向けに、積雪状況や注意点、対処法についてまとめています。
事前にしっかり対策をして、安全に不安なく玉造温泉への旅行を楽しんでください。
【結論】12月〜2月の玉造温泉、ノーマルタイヤでの走行は「危険」です
12月から2月の間、玉造温泉付近、というよりも島根県全体である程度積雪があります。
つまり、冬の玉造温泉へ車でお越しの場合、ノーマルタイヤで走行することはとても危険。
ちなみに、島根県内の方はほぼ100%、スタッドレスタイヤに履き替えています。
気温が下がるこの時期は、特に朝方に路面が凍結することが多いです。
積雪がなくともノーマルタイヤではスリップする危険があります。
松江・出雲エリアの積雪頻度と「朝晩の凍結」リスク
客観的なデータとして、気象庁【松江(島根県) 平年値(年・月ごとの値) 主な要素】を引用します。
※玉造温泉は松江市街地のため、気候条件はほぼ同じ
月間の雪日数の平均値は
12月:9.8日
1月:18.2日
2月:14.3日
3月:6.6日
雪日数とは、積もった日だけでなく、「一時的にでも雪やみぞれが降った日」を含みます。
「積もってないから大丈夫」
と安心してはいけません。
「道路が濡れて凍結するリスクがあった日がこれだけある」
ということですので、特に12月から2月にかけての運転は要注意。
最低気温も1月、2月は1度台となり、明け方から昼にかけて道路が凍結していることが多いです。
特に山間部、また橋の上などは凍結しやすいので特に注意しましょう。
スタッドレスなし、ノーマルタイヤで来てしまった場合の3つの対処法(レンタカー・チェーン)
もしも、すでに玉造温泉に向けて、ノーマルタイヤで出発されている場合の3つの手段をご紹介します。
レンタカーを借りる
その場ですぐにレンタカーに乗り換えましょう。
その際は、オプション選択で「スタッドレスタイヤ確約」になっているか必ず確認をして下さい。
格安レンタカーや、広島・岡山・関西など「雪の少ない地域」から借りて乗ってくる場合は、標準装備がノーマルタイヤの可能性が高いです。
チェーンを購入する
チェーンを購入しておくのも一つの手です。
もしすでに出発されているのであれば、カー用品店などで購入ができます。
チェーンもさまざま種類があります。
本格的な金属チェーンは、装着難易度が高く、ホイールを傷つけるリスク(レンタカーの場合の賠償リスク)があるため、観光客向けにはおすすめできません。
非金属(ゴム・樹脂)チェーンやスプレー式タイヤチェーンもありますが、価格的にも手軽さとしてもオートソック布製タイヤチェーンがおすすめです。
「誰でも・簡単に・短時間で装着できる」かつ「かさばらない(荷物にならない)」ものがベストですので、事前に準備しておきましょう。
車から公共交通機関に乗り換える「パーク&ライド」作戦
最終手段ですが、あまりに雪が激しくなって運転が怖い、という方はその場で車から乗り換えることを考えましょう。
知らない土地で、雪による視界が悪い状態で運転するのであれば、とにかく安全に到着することを優先すべきです。
電車や路線バス、タクシーに乗り換えて玉造温泉へ向かいましょう。
月別に見る道路状況|12月・1月・2月・3月の注意点
島根県で降雪のタイミングとなる12月から3月にかけて、各月で道路状況が異なります。
それぞれの月での危険度、雪の傾向やその対策についてご紹介します。
【12月】油断大敵!「ノーマルタイヤの車」が混在する最も危険な時期
- 危険度: ★★★★☆
- 雪の傾向: 水分を含んだ重たい「ベタ雪」や「みぞれ」。
- 道路状況: 12月中旬までは雨が多いですが、クリスマス寒波などで突然「ドカ雪」が降ることがあります。
最大のリスクは、「まだ降らないだろう」と油断している地元車や観光客の車(ノーマルタイヤ)が道路上に多いことです。
突然の雪で立ち往生する車が多発し、大渋滞に巻き込まれる可能性があります。 - 対策: 天気予報に雪マークがなくても、気温が「3℃以下」になる予報なら、橋の上などは凍結します。
12月下旬ならスタッドレスは必須です。
【1月】積雪・凍結のピーク。「スタッドレスなし」は自殺行為
- 危険度: ★★★★★(MAX)
- 雪の傾向: 気温が下がり、サラサラした粉雪も積もる。根雪(溶けずに残る雪)になることも。
- 道路状況: 松江・出雲エリアで最も警戒すべき月です。
一度積もると、日陰や裏道(温泉街の細い道など)はずっと凍ったままになります。
特に注意すべきは宍道湖沿いの国道(9号線など)や橋の上(松江大橋など)。
宍道湖からの強風に対して吹きっさらしのため、路面があっという間に凍りつきます。 - 対策: レンタカーは「スタッドレス確約」以外、選択肢に入れてはいけません。
運転に自信がない場合は、迷わず「JR+バス・タクシー」に変更しましょう。
【2月】魔の「ブラックアイスバーン」に注意。見た目に騙されるな
- 危険度: ★★★★☆
- 雪の傾向: 日中は溶けるが、夜間に再凍結する。
- 道路状況: 日中の気温が少し上がり始めるため、路面の雪が一度溶けます。
しかし、これが夕方以降に冷え込み、アスファルト表面が薄い氷の膜で覆われる「ブラックアイスバーン」が発生します。
「雪がなくてアスファルトが見えているから大丈夫(ただ濡れているだけ)」と思ってスピードを出すと、ブレーキを踏んだ瞬間に制御不能になります。 - 対策: 「黒く濡れている路面」=「氷」だと思ってください。
特に玉造温泉入口の交差点から宿へ向かう道は、川沿いで湿気が多く凍りやすいため、最徐行が必要です。
【3月】忘れ雪(上雪)の罠。「春の服装」で油断した頃にやってくる
- 危険度: ★★★☆☆
- 雪の傾向: 湿って重い雪。短時間で溶けるが、降り始めは滑る。
- 道路状況: 「もう春だし大丈夫だろう」と油断した3月上旬〜中旬に、不意打ちのように寒波が戻ってくることがあります。
ノーマルタイヤに戻してしまった地元民も多く、スリップ事故が起きやすい時期です。 - 対策: 3月でもレンタカーはスタッドレスを選ぶのが無難です。
もしノーマルタイヤで来ていて雪に降られた場合は、無理せず時間にゆとりを持って運転しましょう。
3月の雪は、日が昇ればすぐに溶けます。
ライブカメラで確認!出発前に見るべきサイト3選
すでに出発されている方は、以下ライブカメラで現地の様子を確認してみてください。
観光時によく利用する国道9号・54号のライブカメラ➡️松江国道事務所 道路画像情報
高速道路、山陰道・松江道のライブカメラ➡️iHighway(アイハイウェイ)中四国
国道から外れた道や、より細かい地点を確認したい場合➡️島根県 道路カメラ情報
出雲大社から玉造温泉へ|雪道でハマりやすい危険ポイント
出雲大社と玉造温泉の間の運転は、通常で50分程度の距離ですが、積雪の時期は1時間以上かかる場合があります。
時間にゆとりを持つのはもちろんですが、ナビが危険なルートを案内することもあるので、気をつけましょう。
なお、ベストのルートは交通量の多い国道9号線を通ることです。
山越えルートは避けて!カーナビやグーグルマップに要注意
Googleマップやカーナビでは、信号が少なく距離が短い「山沿いの農道(通称:オレンジロードなど)」を最短ルートとして案内することがよくあります。
積雪のない季節はいいのですが、冬場はこれらのルートを利用しないようにしましょう。
通行量が少ないため、除雪が間に合っていなかったり、アイスバーンとなっていることもあります。
玉造温泉街への「入口」と「橋」も気をつけて!
玉造温泉街近くにも危険ポイントが2箇所あります。
まず、国道9号線から玉造温泉に入る「玉湯」交差点。
大きな交差点ですが、気温が低いと停止線付近が磨かれてツルツルになっている(ミラーバーン)ことが多いです。
温泉街の中の橋も注意してください。
玉造温泉は川沿いに旅館が並んでおり、宿に入るために小さな橋を渡ることが多いです。
橋の上は「下からも冷やされる」ため、道路より圧倒的に凍りやすいです。
どうしても運転が不安なら「JR・バス」に切り替えよう
ここまでの対策を踏まえていても、雪の中での視界の悪さや、雪道の運転にどうしても不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
その場合は車の運転を避けて、予め移動手段は公共交通機関(飛行機、電車、バス)に変更しておきましょう。
飛行機の場合|出雲空港から玉造温泉への連絡バス
飛行機の場合は、出雲空港か米子空港を利用できますが、出雲空港の利用がおすすめ。
湖面を吹き抜ける強い横風を直接受けやすい出雲空港の方が欠航のリスクは高いですが、空港に到着してからのアクセス面を踏まえると軍配が上がります。
出雲空港から玉造温泉までのタクシーはおおよそ30分程度、料金は7000円ほど。
また空港から玉造温泉駅までのバスも1日1便あります。➡️空港連絡バス時刻表
電車の場合|駅から宿へは送迎サービスか、タクシーで
電車の場合、JR玉造温泉駅が最寄りの駅です。
➡️特急やくもの運行状況
玉造温泉駅から玉造温泉街までは徒歩で15分から20分ほどとそれなりに距離があります。
スーツケースを転がしながら雪道を歩くのはあまりおすすめしません。
玉造温泉駅にはタクシーが常駐していません。
宿泊先で送迎サービスがあるかどうかと時間帯は事前に確認をとっておきましょう。
また、送迎サービスがない場合は、予めタクシーの予約をしておくか、配車アプリを利用しましょう。
※乗車する電車が決まり次第、到着時間を確認してから連絡してください。
タクシー予約の場合、以下三社が利用可能です。
日本交通タクシー:0852-62-0121
玉造タクシー:0852-62-0337
第一交通:0852-21-5000
配車アプリでは、2025年9月下旬から松江市エリア(玉造温泉含む)に対応しているGO一択です。
タクシーが呼べるアプリGO 《ゴー》
長距離バスの場合|玉造温泉まではタクシーが必須
長距離バスの場合、バスの停留所が高速道路上のため、玉造温泉から離れています。
また、玉造温泉高速バス停留所にはタクシーが常駐していません。
徒歩で約35分かかりますので、事前にタクシーを予約しておきましょう。(上記参照)
苦労して行く価値あり!雪だからこそ味わえる「絶景・雪見風呂」
ここまでは冬の玉造温泉へのアクセスに関する対策をお伝えしてきました。
交通アクセスに関する不安やリスクはありますが、それでも私は冬の玉造温泉へは苦労してでも行くことをおすすめします。
理由は、冬の季節だからこそ味わえる景色があるからです。
玉造温泉の各旅館にはそれぞれ露天風呂で冬だからこその雪見風呂を楽しむことができます。
その中でも客室露天風呂でプライベート感を味わってみるのもおすすめです。
➡️島根県松江市の客室露天風呂付きの温泉旅館・ホテルの徹底比較
まとめ:冬の玉造温泉に行く前に、これだけチェックすれば大丈夫!
最後に、冬の玉造温泉へ向かう前の「安全チェックリスト」を振り返りましょう。
- タイヤ確認:今の車はスタッドレスですか?ノーマルならレンタカーの変更か、布製チェーンの準備を。
- 情報収集:出発直前には、記事内で紹介したライブカメラを必ずチェック。
- 勇気ある判断:当日に大雪警報が出たら、無理せずJR(やくも)への変更や、ルートの見直しを。
脅威となるのは「雪」そのものではなく、「準備不足」と「油断」です。
まずは安全に玉造温泉へ到着することを優先させましょう。
準備万端のあなたを、温かい美肌の湯が待っています!
